最近よく、廃墟に行く夢を見る。
行ったことも見たこともない町が
いかにも、ほんとうにあるかのように
目が覚めても、リアルに思い出せる。


昨日行ったのは大きな洋館、
長い廊下には蔦がびっしりと絡まって
庭は見渡す限りの沼地、みたいな池、だけれど緑に埋まって水面は見えない。
木が時々、ばしゃんと落ちて沈んでいく。
あの木に登って写真を撮ろうとしていたのにと、ぞっとする。


古い町、細い路地、壁の蔦、
あたしは夢中で写真を撮っていて学校に遅刻。


学校…そう学校、あたしは高校生で、
あのひととあたしは中身が大人のまま同じ高校にいた。
机の前後に座って、背中をつついて遊んだ。
こんな高校生活送りたかったね、彼は最高の笑顔で笑った。


うたう夢も、抱かれる夢も、実際目が覚めたら欲求不満になるだけなのに
廃墟に行く夢だけは満たされて目が覚める。
望み通りの廃墟に行けているからだろうか。
全部が夢のなかで解決できることだったらいいのに。
まよわずに、行ってしまうのに。