あざやかな。


それはとてもとてもあざやかな、
哀しみだった。


希望が絶望に負けた季節
あたしのすきだったあのひとはもう
何処にも居なくなってしまった。


あのひとが一瞬でも好んでくれた
この声も
髪も
胸も
肌も
言葉も


失くしてしまいたい衝動、
残すことが間違い というかんかく


あのひとは 他には何ひとつ失わず、
あたしだけを失って
そして思惑通りにあたしは
すべてを失った。


音もしないからっぽな人形。
哀しみだけがあざやかにひかる。
偶然の虹みたいにきれいに。
だけど必然の闇みたいに救いようもなく。


そう、
救いようもなく、
零れ落ちながら、
このからっぽなあたしを抱いて
ひかっている。