■
もう あたしには、なんにも ないよ。
きみを救う術もなければ
きみを裏切る術もない。
きみにかかわる、すべてがもう、なんにもない。よ。
かみさまはいないと あのひとは言った
ああそうだなと おもった。
何処が痛くても、もう
訴える声が、出ない
愛されたかった
喜ばれたかった
きみに
そうして
求められていることを、必死でこなしても
きみはきみで しあわせになるだけだろう?
あたしをまた、置き去りにして
ああもうなんにもない
きみにあげられるものも
きみと生きていく足も
さよならだ、さよなら。
あたしが潰れる音を聞きたくないなら
はやく行けばいい
きみのたからものは
永遠にその手に、
おさまることはなくなるけれど。