もう二度と、誰とも、どうにも、なれないのだったら
他のひとなんて好きになる必要なかったのかな
そんなことをぼんやり考えていた
雲はとても濃く、厚く
じらされた雨は、午後になると耐えられずに降ってきたのに
わたしは最後まで泣くことはできなかった。


「誰をすきになっても、おなじだったよ」
せかいに失望してうんざりしていたあの子とおなじ
なにを求めたいのかわからなくなるんだ
きみのお願いならなんでも聞いてあげたいよ
そんなふうに扱われたかった、生涯、たった一度だけでも。



いつだって
わたしをいつでも失える覚悟、それだけで
「もう、叶わないのは、うんざりなんだ」
そう言って去ってゆく未来 のために
いまをわざと薄くして生きて みんなおんなじだ



ひかりなんて射さないんだね
わたしの手は胸は声は命は
やわらかく汚れてゆくばっかりだ

「離さないで すきでいて きらいにならないで」

どう生きれば、そんなふうに
きみに求めてもらえるんだろう


そう、ひかりの射さないせかい
「どこにもいかない」
って笑いながら
傘を差すきみを見上げてた


そんな春のひ、


雨があがるね
きっとすべてが嘘になって
きみも消えるね