もういいや、と


離す、手、のひら、ひら、花、びら、


うつくしく舞えるなら、舞えたなら
なんの悔いもなく消えられるんだわ
だけど疲れ過ぎたこの足は、まるで見せかけで
無理に立っていた いままでが奇跡みたいだったと知った


なんのためにがんばればいいのかわからなくなって、
淋しさを紛らわせるものをえらべなくなって、
伸ばされた腕を掴んでは引き千切って、投げて、遠くに
そしてこの涙を拭いてくれたゆびまでも
食い千切ってしまった


紛らわせるのではなくて
満たされれば、良かったと
知ったのはずいぶんと最近のこと


だけどもう、誰もいなくなってしまった


貴方が掴もうとしているこの手は
汚れに汚れていて
洗っても洗っても
さわると真っ黒にしてしまうよ


だからもう誰もあたしにさわらないでください
そこで笑って見ていて、あたしが消えるまで


うたうのも、泣くのも、斃れるのも
ただ見ていて、抱き起こしたりなんかしないで


愛せないのなら
愛せないのだから